蟹ヶ谷古墳群(かにがやこふんぐん)は、神奈川県川崎市高津区蟹ヶ谷にある古墳時代後期(6世紀~7世紀)の古墳群。市内で唯一前方後円墳が現存する古墳群とされる。

概要

矢上川右岸、東急東横線元住吉駅から西に1.5キロメートルほど離れた神奈川県立中原養護学校北側の「神庭特別緑地保全地区」と呼ばれる高台の縁に所在する。

高台上部に3基の古墳が並んでいるが、矢上川に下る斜面にも古墳と見られる高まりが複数あり、5基以上存在すると考えられている。また斜面には横穴墓(蟹ヶ谷横穴墓群)も存在する。

既知の3基は円墳と考えられていたが(書籍によっては伝承に云われる「井田城」の土塁や櫓台ではないかとするものもある)、内1基が前方後円墳である可能性が出てきたため、古墳群の実態解明を目的に川崎市と専修大学・日本大学が協力し、2012年度(平成24年度)~2016年度(平成28年度)にかけて墳丘測量と発掘調査を行った。その結果、中央の1号墳は全長30メートル以上の前方後円墳で、周溝と見られる溝や埴輪片が出土し、6世紀後半~末の築造と判明した。埋葬遺構は破壊されていたが、石棺の石材破片が発見された。

2号墳・3号墳では埴輪が発見されず、1号墳に後続する6世紀末~7世紀初頭の円墳と判断された。

脚注

参考文献

  • 大類伸 監修 1967 『日本城郭全集』第4集 人物往来社
  • 児玉幸多・坪井清足 監修 1980 『日本城郭大系第6巻 千葉・神奈川』新人物往来社
  • 土生田純之「川崎市蟹ヶ谷古墳群の発掘調査」『人文科学年報』第46巻、専修大学人文科学研究所、2016年3月、1-20頁、CRID 1390009224825991808、doi:10.34360/00007513、ISSN 0387-8708。 
  • 高久健二「川崎市蟹ヶ谷古墳群の発掘調査と神庭遺跡」『人文科学年報』第47巻、専修大学人文科学研究所、2017年3月、1-20頁、CRID 1390009224825994624、doi:10.34360/00007528、ISSN 0387-8708。 

外部リンク

  • 「川崎市教育委員会:シッシー君の文化財探訪日記 2013年3月」(川崎市)

神庭緑地(井田城・蟹ヶ谷古墳群)へのアクセス方法と駐車場は? 歩いてみたブログ

川崎市教育委員会 蟹ヶ谷古墳群第8次調査の見学会を開催しました!

蟹ヶ谷古墳群 川崎市高津区蟹ヶ谷 週末は古墳巡り

蟹ヶ谷古墳群 川崎市高津区蟹ヶ谷 週末は古墳巡り

蟹ヶ谷古墳群・現地説明会(2022年3月5日) 神奈川県川崎市高津区蟹ケ谷 墳丘からの眺め