ユークリッド幾何学において、三角形の円錐曲線または三角形の二次曲線(英:Triangle conic)は三角形に定義される、円錐曲線の総称である。 たとえば、外接円や内接円、シュタイナー楕円、キーペルト双曲線が挙げられる。ほかに、それぞれの頂点または対辺ごとに定義される、アルツト放物線のようなものもある。

三角形の円錐曲線と言う言葉に、明確な定義は存在せず、文献の中で広く使われている (などを参照)。ギリシャの数学者Paris Pamfilosは「円錐曲線が外接するとは、△ABCの頂点3つを通ることであり、円錐曲線が内接するとは3辺に接することである」と述べた。三角形の円、楕円、放物線、双曲線(triangle circle,ellipse,parabola,hyperbola)といった言葉も同様に定義された。

Encyclopedia of Triangle CentersやCatalogue of Triangle Cubicsのような、三角形に対する図形の辞典のようなもので、円錐曲線がまとめられているものは2024年現在、存在しない。

三線座標による式

三線座標x : y : zを用いて任意の円錐曲線は以下の式で表される。 r x 2 s y 2 t z 2 2 u y z 2 v z x 2 w x y = 0. {\displaystyle rx^{2} sy^{2} tz^{2} 2uyz 2vzx 2wxy=0.} うち、外接円錐曲線と内接円錐曲線は以下の式で表すことができる。 u y z v z x w x y = 0 l 2 x 2 m 2 y 2 n 2 z 2 2 m n y z 2 n l z x 2 l m x y = 0 {\displaystyle {\begin{aligned}&uyz vzx wxy=0\\[2pt]&l^{2}x^{2} m^{2}y^{2} n^{2}z^{2}-2mnyz-2nlzx-2lmxy=0\end{aligned}}}

特別な三角形の円錐曲線

以下に有名な円錐曲線を挙げる。基準となる三角形を△ABC 、頂点及び角をA, B, C、その対辺をそれぞれa, b, c、とする。また、円錐曲線をあらわす三線座標の変数をx : y : zとする。

三角形の円

三角形の楕円

三角形の双曲線

三角形の放物線

三角形の円錐曲線の族

ホフスタッター楕円

ホフスタッター楕円(Hofstadter ellipses)はある媒介変数によってあらわされる楕円の集合である。 x 2 y 2 z 2 y z [ D ( t ) 1 D ( t ) ] z x [ E ( t ) 1 E ( t ) ] x y [ F ( t ) 1 F ( t ) ] = 0 {\displaystyle x^{2} y^{2} z^{2} yz\left[D(t) {\frac {1}{D(t)}}\right] zx\left[E(t) {\frac {1}{E(t)}}\right] xy\left[F(t) {\frac {1}{F(t)}}\right]=0} ただし t は媒介変数で D ( t ) = cos A sin A cot t A E ( t ) = cos B sin B cot t B F ( t ) = cos C sin C cot t C {\displaystyle {\begin{aligned}D(t)&=\cos A-\sin A\cot tA\\E(t)&=\cos B-\sin B\cot tB\\F(t)&=\cos C-\sin C\cot tC\end{aligned}}} である。 t と 1 − t が表す楕円は等しい。また t = 1/2のとき内接楕円 x 2 y 2 z 2 2 y z 2 z x 2 x y = 0 {\displaystyle x^{2} y^{2} z^{2}-2yz-2zx-2xy=0} となり t → 0とすると外接楕円 a A x b B y c C z = 0. {\displaystyle {\frac {a}{Ax}} {\frac {b}{By}} {\frac {c}{Cz}}=0.} となる。

トムソン円錐曲線とダルブー円錐曲線

トムソン円錐曲線(Thomson Conics)は、各辺との接点を通る、各辺の法線が共点である内接円錐曲線の集合である。ダルブ―円錐曲線(Darboux Conics)は頂点での円錐曲線の法線が共点である外接円錐曲線である。双方の共点は、ダルブ―三次曲線上にある。

平行線との交点により構成される円錐曲線

△ABCと点Pについて、Pを通るBC,CA,ABに平行な線と、他2辺との交点をそれぞれXb, Xc, Yc, Ya, Za, Zbとする。この6点は同一円錐曲線上にある。特にPが類似重心であるとき円となる。Pの三線座標をu:v:wとすると、6点を通る円錐曲線は以下の式で表される。 ( u v w ) 2 ( b c u y z c a v z x a b w x y ) ( a x b y c z ) ( v w ( v w ) a x w u ( w u ) b y u v ( u v ) c z ) = 0 {\displaystyle -(u v w)^{2}(bcuyz cavzx abwxy) (ax by cz)(vw(v w)ax wu(w u)by uv(u v)cz)=0}


九点円錐曲線

△ABCと点Pについて、AB,BC,CA,AP,BP,CPの中点と、AB,CP、BC,AP、CA,BPの交点の計9点を通る円錐曲線を九点円錐曲線(Nine-point conic)という。Pが垂心のとき円(九点円)、重心のとき内接楕円(シュタイナーの内接楕円)となる。

イフ円錐曲線

媒介辺数 λ {\displaystyle \lambda } を用いて、 x 2 y 2 z 2 2 λ ( y z z x x y ) = 0 , {\displaystyle x^{2} y^{2} z^{2}-2\lambda (yz zx xy)=0,} で表される円錐曲線をイフ円錐曲線(Yff conics)という 。任意の点P(u : v : w)によって λ {\displaystyle \lambda } λ = u 2 v 2 w 2 2 ( v w w u u v ) . {\displaystyle \lambda ={\frac {u^{2} v^{2} w^{2}}{2(vw wu uv)}}.} で表される。特に放物線(イフ放物線、Yff parabola)の時は λ = a 2 b 2 c 2 a 2 b 2 c 2 2 ( b c c a a b ) = λ 0 {\displaystyle \lambda ={\frac {a^{2} b^{2} c^{2}}{a^{2} b^{2} c^{2}-2(bc ca ab)}}=\lambda _{0}} である。

λ < λ 0 {\displaystyle \lambda <\lambda _{0}} または λ > 1 2 {\displaystyle \lambda >{\frac {1}{2}}} のとき楕円、 λ 0 < λ < 1 {\displaystyle \lambda _{0}<\lambda <-1} のとき双曲線となる。 1 < λ < 1 2 {\displaystyle -1<\lambda <{\frac {1}{2}}} のときは、座標平面上には表れない。

ラビノヴィッツ円錐曲線

△ABCと点Pについて、同じ向きにAP//BD//CE,BP//CG//AF,CP//AH//BIで、AP=AF=AH,BP=BD=BI,CP=CE=CGを満たすように点D,E,F,G,H,Iをとると、その6点は同一円錐曲線上にある。これをラビノヴィッツ円錐曲線(Rabinowitz Conics)と言う。

関連

  • 三角形の中心
  • Central line
  • 中心三角形
  • 三角形の三次曲線
  • 近代三角形幾何学

出典


円錐曲線と展開図(conic curves and it on the xyplane) GeoGebra

三角形に内接する円錐曲線の作図 GeoGebra

円錐曲線 円 パースフリークス

数学Ⅲ 数学基礎05 2006円錐曲線・円錐の切断面に現れる円・楕円・放物線・双曲線などの二次曲線は全てax^2+by^2+cx+dy+e=0

円錐・円柱の交差展開図 YouTube