二ッ森山(ふたつもりやま)は、岐阜県中津川市 と加茂郡白川町とにまたがる標高1,223.5 mの山。美濃三河高原の二ッ森山地の主峰。
概要
付知川の右岸に位置し、二ッ森山地の主峰。古記録では「二ッ盛山」と表記されている。東峰と西峰からなり、東から望むと 双耳峰であることが山名の由来。本峰の西峰には二等三角点(点名が「二ッ森」、標高1,223.49 m)が設置されている。東峰は「東森山」と呼ばれている。三角点の標石は、山頂の巨石に埋め込まれている。山麓には南北朝時代の史跡が多い。岐阜県山岳連盟により、ぎふ百山の一つに選定されている。山域はヒノキの植林地として利用されている。ベニドウダンが分布し、山頂のトチ、クヌギ、イタヤカエデ、ブナなどの大木も多い。山頂の南西約1 km(標高1,100 m)にミズナラの巨木(やや傾斜地に生育していて、幹周6.9 m、樹高25 m)があり、1967年(昭和42年)6月14日に『薬研洞の大ナラ』(やけんぼらのおおなら)として、岐阜県の天然記念物の指定を受けている。東山腹の二ツ森林道沿線に自生する『ハナノキ(二ツ森)』が、1983年(昭和48年)11月3日に旧福岡町の天然記念物の指定を受け、中津川市の天然記念物を受けている。平成13-17年度にかけて、森林居住環境事業(林業地域総合整備事業)の一つとして、北東面の二ッ森山林道の周辺(7合目付近)に二ッ森フォレストパーク(児童公園)と遊歩道が整備された。
氷餅の池
山頂の北東約300 mの登山道付近に「氷餅の池」があり、1973年(昭和48年)11月3日に恵那郡福岡町の史跡に指定され、その後中津川市の史跡に指定されている。1723年(享保8年)に苗木藩6代領主遠山友将が、氷餅の製造場所を高峰山から本山への移転を命じた。百姓204人により、山道作り、小屋かけ、井戸掘りを行い、2日間でこの池を完成したと伝えられている。
登山
日帰り登山の対象となる山。代表的な登山道である切越峠からの登山ルート(無雪期・天候良好時)が、岐阜県による「岐阜県 山のグレーディング」で、技術的難易度が「ランクA/(A-E)」(低い)、体力度が「2/1-10」(小程度、日帰りが可能)とされている。山頂の北側には休憩所となる東屋とモニュメント が設置されていて、御嶽山、中央アルプス、南アルプスなどが望める。山頂の巨石は展望台となっていて、恵那山や笠置山などを望むことができる。二ッ森山林道より少し上部の林道の福岡側登山口には、トイレ、水場と駐車場 が設置されている。東森山の山頂直下には東屋が設置されている。北尾根上の標高点1,160 mのピークには、「福岡町天然記念物ダナのシャクナゲ群生地」の標示がある。主な登山ルートを以下に示す。
- 切越峠 - (北尾根) - 標高点1,160 mのピーク - コウモリへの岩分岐 - 大ナラへの分岐 - 二ッ森山
- 二ッ森山林道(福岡側登山口) - 東峰と西峰との鞍部 - 二ッ森山
- 切越峠 - (岐阜県道70号白川福岡線) - 奥新田林道 - コウモリ岩の入口 - コウモリ岩 - コウモリ岩への分岐 - 大ナラへの分岐 - 二ッ森山
- 切越峠 - (岐阜県道70号白川福岡線) - 奥新田林道 - 大ナラ登山口 - 大ナラ - 大ナラへの分岐 - 二ッ森山
地理
東濃の恵那峡の北側に位置する。
周辺の山
御嶽山の南南東36.4 km、恵那山の北西22.8 kmに位置する。周辺の主要な山を下表に示す。
源流の河川
以下の木曽川水系の河川の源流となる山で、伊勢湾へ流れる。
- 柏原川など - 付知川の支流
- 和田川
- 鱒淵川 - 黒川(白川の支流)の支流
周辺の峠
周辺の峠を以下に示す。
- 切越峠 - 標高約880 m。山頂から北側に延びる尾根上にある高時山(標高1,085.7 m)との鞍部。山頂の北北西2.2 kmに位置し、岐阜県道70号白川福岡線が通る。
- 遠ヶ根峠 - 標高797 m。山頂から西側に延びる尾根上にある鞍部。山頂の西3.8 kmに位置し、岐阜県道72号恵那蛭川東白川線が通る。
交通・アクセス
北山麓に岐阜県道70号白川福岡線、山域の西側に岐阜県道72号恵那蛭川東白川線、山域の東側に国道257号が通る。水土保全機能強化総合モデル事業の一環として、東山腹を巻く二ッ森林道が敷設されている。切越峠には登山者用の駐車場がある。西山腹に岐阜県道70号白川福岡線から奥新田林道が敷設されている。
- 東海旅客鉄道(JR東海)中央本線中津川駅の北西12 kmに位置する。
- 中央自動車道中津川インターチェンジの北西13 kmに位置する。
二ッ森山の風景
北西側の白川町黒川の岐阜県道70号白川福岡線沿いからは本山を望むことができる。東側の中津川市の山麓からは、双耳峰の山容が望める。
二ッ森山からの眺望
ウィキメディア・コモンズには、二ッ森山から眺望に関するカテゴリがあります。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
- 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
- 島田靖、堀井啓介『改訂版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド・改訂版〉、2009年12月。ISBN 9784635023702。
- 西山秀夫『東海周辺 週末の山登り ベスト120』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイドNEXT〉、2015年2月5日。ISBN 978-4635014540。
- 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 山と溪谷社 編『日本の山1000』山と溪谷社、1992年8月。ISBN 4635090256。
- 与呉日出夫『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社〈週末登山コースの百科事典〉、2010年7月。ISBN 9784635180177。
- 吉川幸一『こんなに楽しい岐阜の山旅100コース 美濃』風媒社〈下〉、2003年1月。ISBN 4833100975。
関連項目
- ぎふ百山
- 二ッ森山 (曖昧さ回避)